
笑い、滴り、装い、眠る。
第15章 TO You・・・
顔を上げ辺りを見回すともう朝で、
コーヒーのいい香りが鼻腔を擽った。
智「あ、目、覚めた?」
「あの…」
智「パンにしちゃったんだけど、白米の方がよかった?」
ぶんぶんと勢いよく首を左右に振る。
智「よかったあ…あ、卵もあるから目玉焼きでも作ろっか?」
「うん♪」
智「よっしゃ。待ってろ。」
腕捲りをすると、智くんは冷蔵庫から卵を出し、用意したフライパンの上で器用に割りいれた。
わ、カッコいい…
手際よく野菜を盛り付け、出来上がった目玉焼きを皿に移した。
「美味しそう♪」
智「たかが目玉焼きじゃん?」
「えー?俺、それさえ出来ないから?」
どんだけ料理出来ないんだよ?と、智くんは笑った。
うまいうまい、と、智くんお手製の朝食に舌鼓を打つ。
智「また、作ってやろっか?」
「ほんと?」
智「こんな簡単なもんでいいんなら全然いいよ?」
「やった♪」
しばらく無言で箸を進めていると、じっと智くんがじっとこちらを見つめていることに気づく。
「どうしたの?」
智「……毎朝でもいいよ?」
「え?」
智「朝ごはん。」
いつになく真面目な顔の智くんに反射的に背筋が伸びる。
智「翔ちゃんのために作ってあげる。」
