笑い、滴り、装い、眠る。
第16章 a little guy
そんなことがあった次の日。
何時ものように雅紀くんが友だちを連れてやって来た。
が、その友だちは何時も連れてくる「おーちゃん」とは別人で、
テントの下で、海パン姿にパーカーを羽織り携帯ゲームに勤しんでいた。
雅「こいつはカズ。潤にいの従兄弟。」
カズくんは雅紀くんの甲高い声に不機嫌そうに顔を上げ、チラッとこちらを見た。
今日…どうしたのかな?
落ちつかなげに辺りを見回す俺に雅紀くんが気づいた。
雅「もしかしておーちゃんのこと探してる?」
「うん、珍しいな?と思って。」
雅「おーちゃんなら……」
自宅に籠って、夏休みの宿題をしてるのだ、と教えてくれた。
雅「手伝ってあげたいのは山々だけど、俺も勉強苦手で…俺もまだ終わってないけど、おーちゃんちのお父さんお母さんが厳しくてさ?多分、宿題終わるまで遊びに行くな、って言われてんだと思う。」
「そうなんだ…。」
親御さんが厳しいのか……。
だから大人しかったのだ、と、妙に納得してしまった。
雅「ねぇ…翔ちゃん?」
「ん?」
雅「おーちゃんの様子、見に行ってみる?」