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笑い、滴り、装い、眠る。

第16章 a little guy



智「さ、櫻井さん……なんで?」



慌ててリビングに飛び込んできた、といった体で大野くんが俺らの前に姿を現した。



雅「おーちゃんの姿が見えなかったから、翔ちゃん、すごく心配してたよ?」


智「え……?」


「あ…いや、いつも雅紀くんと一緒にいるイメージだったから…」


智「そう……なんだ…。」



思ってたより元気そうだな?



雅「ねえねえおーちゃん、翔ちゃんに宿題、手伝ってもらったら?頭いーんだし?」


智「え?そ…そんな悪いよ?」


雅「翔ちゃんに手伝ってもらったら宿題早く終わるかも知れないじゃん?」


智「…そうだけど。」



おい、お前、何勝手に話進めてんだよ



そこへ、智くんの母親が智くんの分のコーヒーを持ってきてこう言った。



母「櫻井さん、っておっしゃったかしら?私からもお願いします。もちろん、その分の報酬はお支払しますから?それでもし、よければ、の話なんだけどこのまま智に勉強教えて下さると有りがたいんだけど?」


「え…っと…それはつまり…家庭教師として、ってことですか?」



チラッと大野くんを見ると俺を見る目が必死過ぎてちょっと怖かった。



でも、俺が困ったような顔をするとちょっと泣きそうな顔になってしまった。



だから、つい言ってしまった。



「あの…俺でよかったら……。」



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