
笑い、滴り、装い、眠る。
第19章 brothers
映画のあとはいつものサ店でお茶をし、欲しい参考書があるから、と本屋に立ちよった。
真剣な顔で参考書を選んでる翔くん。
ほんと、勉強好きだな?
俺は超苦手だけど。
あんな賢くてイケメンなのに、何で俺なんかと付き合ってくれてんだろう、って、
実は我ながら謎だった。
翔「智くん、お待たせ。」
「じゃ、行こっか?」
もう辺りは大分薄暗くなっていて、いい具合に腹も減ってきた。
雅紀なんぞに恋人を査定されるなんて不本意極まりないけど、
雅紀の中華料理は絶品だからなあ…。
とか考えながら玄関のドアを開けると、食欲をそそる匂いが鼻をつく。
翔「わぁ…いい匂い♪」
悔しいけど、腹へったし早く食いてぇ…
雅「お帰りにーちゃん……って、あれ?」
翔「何処かで見た顔だ、って思ったら、雅紀くんじゃん?」
な…何だ?
何で翔くんが雅紀のこと……?
翔「潤…あ、弟の同級生なんだよ、雅紀くん。」
「あ、そう。」
翔くん、弟がいたのか?
それにしても雅紀のヤツ、翔くんと顔見知りだったとは?
翔「あ、そうだ。この間は誕生日プレゼントありがとね?」
何ぃ?雅紀のクセに、俺の翔くんに誕生日プレゼントを渡しただと?
雅「俺は別に。潤に一緒に選んで欲しい、って頼まれたから?」
