笑い、滴り、装い、眠る。
第20章 brothers〜バレンタイン編
「で、俺も翔くんとヤりたくなっちゃって、お誘いに便乗しました。」
翔「そう……。」
ただでさえ撫で肩なのにさらに肩を落として落ち込む翔くん。
口に出して言うと怒られるから言わなかったけど。
しばらく押し黙ったまま座り込んでいた翔くんだったが、急に立ち上がってふらふら歩き出す。
どこ行くんだろ?と、思い声をかけたら「お風呂」とだけ言い残して、着替えも持たずにバスルームに消えた。
いつもと違う様子に戸惑いながらも、翔くんが手ぶらだったことを思いだしバスルームに向かった。
翔「智くん?」
翔くんに呼ばれて、着替えを脱衣かごに入れバスルームの扉に顔を向ける。
「後で話したいことがあるから」と、深刻そうな声で言われて、まさか…?という思いから返事もせずにその場から立ち去った。
居ても立ってもいられずに、俺は今さらだが、帰ってきてからチョコ一個しか口にしていないことを思い出し、新発売のカップ麺の買い置きを食べることにした。
二人で買い物に行ったとき、「おいしいかな?」って、ワクワクしながら買ったのに、
その味すらよく分からなかった。