笑い、滴り、装い、眠る。
第20章 brothers〜バレンタイン編
もそもそ食ってたからカップ麺はすっかり冷めて伸びきっていてあまり旨くなかった。
勿体ないけど…
捨てよう、と、椅子から立ち上がった時、翔くんがバスタオルで髪を拭きながらこちらを見ていた。
翔「それ……美味しかった?」
「え?あ、これ?イマイチかな?」
翔「そう……」
残念、って、寂しそうに笑いながら翔くんは俺のとなりに腰かけた。
「あっ…あの…話、って?」
翔「うん…大したことじゃないんだけど?」
大したことじゃない?
別れ話とかじゃないのか?
翔「何がいいのかな?と思って?」
「何の話?」
翔「ずっと考えてたんだけど分かんなくて?」
「だから……その……何の話?」
翔「バレンタインの話だよ?」
「あっ…そっか…」
翔「食べるものがいい?それとも別の…」
「もうもらっちゃったけど?」
翔「は?」
「だから、もう欲しいもんもらったよ?さっき。」
翔「さっき?……あっ!?」
「んふふっ。甘い甘いチューと超エロ可愛い翔くんを?」
翔くんの顔が一瞬で真っ赤になる。
「……ごちそうさまでした♪」
真っ赤に染まった翔くんの頬にキスをすると、翔くんにぺしりと背中を叩かれた。