
笑い、滴り、装い、眠る。
第21章 ホワイトデー狂想曲
翔「はあ…いいお湯だった。」
ほんのり頬を上気させた翔くんが浴衣姿で戻ってきた。
翔「でも、ちょっと狭かったね、露天風呂。」
「……そうだね?」
そう。もうちょっと広かったら二人で入れたのに…
翔「そう言えば潤たち帰ってきた?」
「本館で遊んでくる、ってさ?」
翔「そ。」
「何か飲む?」
翔「取りあえずは…水がほしいかな?」
俺は氷水がたっぷり入ったコップを翔くんに手渡した。
翔「ありがと。」
コップを手にするや、翔くんはごくごくと一気に飲んだ。
浴衣の襟から覗く首もとに目が釘付けになる。
何かエロい……
やがて水を飲み干した翔くんが、俺の視線に気づいたらしく、俺に背を向けた。
翔「俺の顔に何かついてる?」
「ご、ごめん!!何となく…」
翔「……潤たち、遅くなるんだよね?」
「あ…うん。」
翔「じゃあ…寝る?」
「え…で、でもまだ早……」
翔「その寝る…じゃなくて…」
「えっ?あっ…」
アッチのお誘いだったか。
翔「もう、お布団も敷いてあるみたいだし?」
翔くんは襖の奥に目をやり恥ずかしそうに微笑んだ。
