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笑い、滴り、装い、眠る。

第21章 ホワイトデー狂想曲



一つの布団の中に二人で潜り込むと、フワリ、と、初めて嗅ぐ石鹸の香りがした。



あまりにいい香りだったから犬みたいに鼻を鳴らして嗅ぐと、隣にいた翔くんに笑われた。



翔「どうしたの?犬みたいなことして?」


「うん。翔くんからいい匂いするなあ、と思って?」


翔「自分だっておんなじシャンプー、使ってるじゃん?」


「そうだけどさ……」



翔くんの体を抱きしめた。



「あったけぇな?翔くんの体。」


翔「智くんも…まだ、温かい……よ?」


「熱かったもんなあ、風呂?」


翔「内風呂、と言っても温泉だからね?」


「また……来たいね?」


翔「……うん。」


「今度は二人っきりで?」


翔「ん。」



少し体を起こして、翔くんにキスをした。



部屋の灯りは落としてあったけど、



暗さに慣れた目で、翔くんが恥ずかしそうに笑うのが見えた。



翔「何だか…二人だけで来たみたいだね?」



そう言えば、二階の部屋は気味が悪いぐらい静かで、弟たちはまだ帰ってきていないようだ。



「……だったらいいんだけどな?」


翔「んっ…」



翔くんの体から立ち上る仄かな香りを楽しむみたいに首筋に鼻先を押し付けた。



翔「もう……犬みたいじゃん?」


「だって、ホントにいい匂いがするんだもん。」


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