笑い、滴り、装い、眠る。
第22章 brothers・番外編
「ね、アニキたちは下の部屋使いなよ?俺らは上の部屋使うからさ?」
雅「え?ちょっと……」
「雅紀、俺らは大浴場の方、いこうぜ?」
アニキたちに気づかれないよう目配せする。
雅「あっ…そっ、そうだね?」
俺らは準備をしに部屋に上がった。
雅「うまく行くかなあ…」
着替えやらを準備しながら雅紀が呟く。
「大丈夫だろ?二人ともちょっと嬉しそうだったじゃん?」
雅「そうだっけ?」
んー?と首を傾げている雅紀の耳元で囁く。
「……俺らは俺らで楽しめるし?」
瞬間、雅紀の顔が真っ赤になる。
雅「もー、潤てば、ほんとにそういうことに関しては頭の回転早いね?」
「本能に純粋なんだよ?」
雅「単にスケベなだけじゃん?」
そんな話をしていると、下の部屋からアニキの声がした。
翔「本館から迎えの車が来たよ?」
俺らは荷物を抱え階段を下りた。
出がけに二人に声をかけ、
智さんに向けて親指を立ててみせた。
「お待たせしました。」
ドライバーが振り返る。
駅まで俺らを迎えに来た時とは違う顔だ。
それどころか……
こいつ……男だよな?
女性を思わせる線の細さに俺は彼に釘付けになった。