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笑い、滴り、装い、眠る。

第22章 brothers・番外編



和「こちらが大浴場になります。」



男は事務的に、淡々と説明した。



和「もし、ご不明な点があれば…」


雅「大丈夫です。ね、潤?」


「えっ?あっ、ああ。」



ごゆっくり、と、恭しく頭を下げ男は足早に立ち去った。



あんな男、いるんだな?



ぼんやりと、そいつの細い背中を見送る。



だから、雅紀が俺に話しかけていることさえ気付かなかった。



雅「ちょっと潤!聞いてる?」


「えっ?あっ!ごめん、何?」


雅「……もういい。」



雅紀は俺を振り切るように脱衣場に入っていった。



「ちょ…雅紀…待てって?」



やべえ。どうしちまったんだ?俺。



雅紀の後を追って脱衣場に入ると、真っ裸の雅紀が大浴場へと通ずる引き戸を後ろ手で閉めたところだった。



「おい雅紀―」


雅「着いてこないでよ?」


「どうしたんだよ?何怒ってんだよ?」


雅「あの可愛い顔の従業員さんに相手してもらったら?」



バレてる…



ピシャリと目の前で戸を閉められた。



俺としたことが…雅紀以外のヤツに目移りするなんて…



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