笑い、滴り、装い、眠る。
第22章 brothers・番外編
それならそれで潔く謝らないといけない。
湯けむりの向こうでかけ湯をする雅紀に歩み寄る。
「あ、あの…」
雅「どいて、邪魔。」
と、湯槽の奥へと行ってしまった。
俺はこちらに背を向けている雅紀に気配を探られないように近づき背中から抱きしめた。
雅「ちょっとやめてよ!!」
雅紀は腕の中から逃れようと必死で暴れた。
「雅紀っ…ちょ…」
雅紀の手が、俺の顔にヒットした。
「いっ…て…」
頬を抑え顔をしかめる俺を一瞥すると、雅紀は大浴場から出ていってしまった。
「やっちまったなあ…」
心の声が口から出てしまい、我ながら笑ってしまった。
「しっかし…いい湯加減…」
隣に雅紀がいたら、もっと良かったけど…
雅「あっ、あのっ…じ、潤?」
「ん?」
この日は、互いのアニキたちが「仲良し」だ、ということで、雅紀が家に遊びに来ていた。
雅「潤は……さ…そ、その…付き合ってる人、っているの?」
「いるよ?」
俺の答えに、雅紀は泣きそうな顔をした。
雅「そ、そうだよね?潤みたいなイケメン、回りがほっとかないよね?」
泣き顔を見られまいと、背を向けようとした雅紀の腕を捕まえ引き寄せた。
「……てか、今さっき付き合うことにした。」