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笑い、滴り、装い、眠る。

第22章 brothers・番外編



あの時の雅紀は可愛かったなあ…なんて、感傷に浸りながら湯につかっていると頭がくらくらしてきた。



やべ……逆上せちまう。



やっとの思いで風呂場から出、



途中、堪らずにロビーのイスに腰かけた。



腕時計で時間を確認しつつ。



今ごろ、盛り上ってんだろうなあ、アニキたち?



天井に顔を向け、頭からタオルを被る。



すると、顔にひんやりしたものが当たる感触がして、俺は飛び起きた。



和「良かったらどうぞ?」



例の、あの従業員が、



冷たい水の入ったグラスを俺の目の前に差し出し笑った。



「ど、どうも……」


和「グラスは後でフロントに返してくれたらいいので。」



従業員は小さく頭を下げ立ち去ろうとした。



和「あの…一つだけ…いいですか?」


「な、なに?」


和「俺、そういう趣味、ありませんから?」



それだけを、振り向きもせずに俺に言うと男は立ち去った。



俺……って、そんな分かりやすいか?



俺は渡されたグラスの水を一気に飲んだ。



「はあ…生き返る。」



恐らく、雅紀は部屋に戻ってふて寝しているに違いない。



でも、アニキたちがヤってる最中だったら寝れないだろうなあ…。



一時の気の迷いからすっかり目が覚めた俺は、



本館から離れまで歩いて帰ることにした。



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