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笑い、滴り、装い、眠る。

第23章 イチゴの気持ち



「お前なあ…」


潤の肩をポンポンと叩いた。


「もっとマシな嘘つけよ?」



が…



潤「ホントなんだって…」



濃ゆくて、マジな顔で言う。



潤「あの旅館でバイトしてた、って?」

「だから?」



その顔が、さらにマジな顔になり、俺の両腕を強く掴んで力強く揺さぶった。


潤「俺と同じ大学にいるんだ、って言ってたんだ。」

「え?じゃあ…。」

潤「イヤでも偶然でも、会うことは避けられないんだって?」

「そっ…かぁ…。」


なるほど…そいつはやっかいだ。


潤「だから智さん…智さんの口から雅紀と兄貴に説明してほしいんだよ?」

「その前に、聞きたいことがある。」

潤「な、なんだよ?」

「お前…あの男とは何にもないんだよな?てか、なかったんだよな?」

潤「あ、当たり前だろ?」

「…下心もないか?」

潤「し…下心、ってほどじゃないけど…その…ちょっとは…」

「…揺らいだのか。」

潤「俺の周りにいないタイプだったし…。」

「よし。じゃあ、それを雅紀に正直に話せ。」

潤「お、俺から?」

「何なら、俺が間に入ってやる。疚しいことがなかったんならできるだろ?」

潤「…分かった。」


潤の目に生気が戻り、力強く立ち上がった。


さすがはイケメン。


気持ちが入るとこうも違うのか。


颯爽と前を歩く後ろ姿に溜飲が下がる思いがした。


顔はあんま似てないけど、


やっぱ、翔くんの弟、って気がした。


















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