笑い、滴り、装い、眠る。
第23章 イチゴの気持ち
リビングに戻ると、翔くんが子どもみたくグズっている雅紀を優しく宥めてくれていた。
そんな翔くんだったが、俺と潤の姿を見た途端に表情を固くさせる。
「コイツが、雅紀に話があるんだってさ?」
話を促すように、潤の背中を押し出した。
翔「まさか…言い訳じゃないだろうな?」
硬い表情をさらに硬化させた翔くんが睨みつける。
潤「初めに言っとく。そう聞こえるならゴメン。」
翔「潤、お前っ…!!」
「…取り敢えず聞いてやってくれ。」
身を乗り出しかけていた翔くんだったけど、
俺の言葉に、渋々だったけど引き下がってくれた。
潤「彼…同じ大学にいるんだ。」
二人は目を見開いた。
潤「だから…偶然会ったとしても不思議じゃないんだ。」
雅「それでも…何だか挙動不審に見えた。」
潤「ごめん…ちょっと動揺した。」
雅「…それだけじゃないよね?」
潤「正直…忘れられなかった…。」
翔「潤、お前、ヌケヌケと何いってんだよ?」
潤に掴みかかった翔くんを羽交い締めにして取り押さえた。
翔「何で止めるんだよっ?!」
「気持ちは分かるけど、一番しんどいのは雅紀だから…。」
唇をグッと噛みしめる雅紀の目からは、今にも涙が零れ落ちそうで、さすがの俺も胸が痛んだけど、
これからの二人のために何とか堪えた。
雅「じゃあ…別れる?」
「…えっ?」
翔「雅紀くん?」
まさかの…まさかの雅紀の問いに俺たちは言葉を失ってしまった。