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笑い、滴り、装い、眠る。

第6章 可愛いあの子は1コ下



翔「別にお礼を言われるほどのことじゃないから。それに…半分は俺の責任だし…」



唇を噛みしめ俯く翔くん。



翔「いくら頭にきたからって、仕事に支障を来すようなことになったらプロ失格だから。」


「翔くん…。」



翔くんは年下で後輩だけど、仕事に関してのプロ意識はおいらよりはるかに高い。



だから、さっきのだって、一メンバーとして気遣ってくれたんだ、って分かってる。



「ごめんね?」


翔「智くん…」



申し訳なさと恥ずかしさで俯いたおいらの手を、翔くんの手が握り返してくれる。



驚いて顔をあげると、翔くんの顔がすごい近くにあって、



一瞬だけ、ほんの一瞬だけど唇に柔らかくて温かくて甘い感触がして、



それが何だったのかを確認する時間も与えられないまま離れていった。



「しょ……」


翔「俺だって、ホントはもっと智くんと…」



真っ赤な顔で走り去る翔くんの後ろ姿をおいらは、


いつまでたっても動かないおいらを心配した他の三人に付き添われて無事、前室に帰りつくことができ、事なきを得た。



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