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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



「バースデープレゼント…ですか?」



ドングリ眼の彼の名前は櫻井翔くん。



彼の大学の同級生の紹介で僕の工房のことを知り訪ねてきてくれたらしい。



翔「ええ。出来たらお揃いで作って貰えたらな?って。」



少し頬を染めながら、彼は冷めかけたコーヒーをぐいっと飲み干した。



お揃い…恋人かな?



羨ましい…。



僕も…ほんの数ヶ月前まではこんな風に言ってくれる人が側にいた。



でも今は…



いけない。しっかりしなきゃ…。



自分を鼓舞するように目を閉じ大きく息を吐く。



「具体的に、どんなものを、って考えてますか?」


翔「あ…いや…具体的には…ただ、こちらのホームページを見て…何だか、俺のイメージにピッタリだったから。」



照れ笑いを浮かべ、申し訳なさそうに彼は頭を掻いた。



「…そうですか。」






昔から手先が器用だった僕は、オーダーメイドでアクセサリーを作る仕事をしていた。



だから、ブライダルシーズンに託つけて恋人にプロポーズをしたいから、との依頼が立て込んでいた。



かと言って、宝石店で置いてもらえるようなちゃんとしたものは作れないけど、



極力、依頼主のオーダーに添えるようにと、材料などには拘っていた。



そのせいで納期はいつもギリギリで、



徹夜なんて当たり前のことだった。



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