笑い、滴り、装い、眠る。
第7章 雨の日は家にいて
翔「俺はネックレスとかがいいかな?って思ってたんだけど、学校がうるさいみたいで…」
「じゃあ、ストラップとかは?」
翔「それも考えたんだけど、何だかなあ…」
ベタすぎて、と、渋る彼にパワーストーンに互いのイニシャルを彫り入れたものを互いに持つのはどうか、と勧めてみた。
「で、デザインは男性が持ってもおかしくないように直線的なものにして…」
と、メモ用紙に僕がイメージするデザインを書き起こす。
「で、このデザインの中心にくる石に、お二人のイニシャルを入れるんです。」
翔「うんうん。」
何気に顔を上げたら…
あの、ドングリ眼の彼の顔がすぐ間近にあって僕は…
「どう……ですか?」
思わず顔を逸らした。
彼から顔を逸らしながら、震える手でそのデザイン画を彼の目の前にスライドさせる。
あどけなさを感じさせる笑顔もいいけど、
真剣な彼の顔もまた、小刻みに震える僕の心臓に見えない先の細い針で刺すみたいにチクリと痛んだ。
ホントにもう…どうしちゃったんだ?僕は。
僕が描き起こしたデザイン画を見つめる真剣な横顔に釘付けになる。
翔「じゃあ…これでお願いします。」
笑った顔を「破顔する」とはよく言ったものだ。
真剣な顔が、フワリとした笑顔になった。