貴女は私のお人形
第5章 きっとそれはあたしも同じで、
「彼女のものに、なりたくなりました。彼女があたしの、生きる理由になりました。彼女との未来を夢見て、夢が現実になると信じて、あたしは生きていられました。だから、告白……しました」
初めてだった。
特別な想いを告白することが、あんなにも心魂を削る行為だと、乙愛はそれまで知らなかった。
「気持ちは受け入れてもらえなくて、やはりあたしは、彼女に、友達として接することが出来なくなりました。彼女は変わらず優しかったのに、あたしは、恥ずかしくて愛おしくて、彼女の目もまともに見られなくなりました。顔を合わせると、視界が滲んで……」
世界から置き去りにされた、乙愛は、まるでぼろぼろのドールになり下がった。
生きるだけの価値を失くしたような、後ろ向きな思考ばかりが乙愛を責める。
「乙愛……」
切なげな純の声が、優しく乙愛にささめいた。
「ごめんなさい、純様。下らないお話をして、退屈させてしまいました」
「乙愛」
視界が、今度は白が覆い尽くした。
えっ…………
乙愛の頭が真っ白になる。身体が動かなくなっていた。
まさか、まさか!……
たった今まで小さな卓袱台の手前に座っていたはずの純が、乙愛を腕にとりこめていた。