貴女は私のお人形
第7章 きっとそれは満たされたこと
「可愛いーっっ」
「あの子のスカート、ロリじゃなくても着られそうだねー。若草色って着こなすの難しそうだけど、白い花柄で可愛い!裾から見えてる綿レース、森ガールって感じ」
「あのショールを留めてるコサージュ、欲しーい!ブーケみたいなカチューシャも超可愛いっ……あの子普通にお洒落じゃーん」
さっきのノゾミを支持したのも上回る、女達の歓声が勢いを増す。乙愛のヘッドドレスに関心を示していた少女達も、あずなの洋服に目を細めていた。
「派手だけど……けばけばしい感じがしないのよねぇ、何だかこう、温かい気持ちになるわ。あの服、手作りかしら」
「あの羊毛フェルトのウサギの人形は、手作りね。私も作ってみたいわぁ」
羊毛フェルトのウサギと戯れるようなパフォーマンスを終えたあずなが、茶席に戻った。
「以上を持ちまして、ファッションコンテストのショーを終了します。只今より審査の集計に入ります。しばらくお待ち下さい」
「あの人が集計係かしら」
純から制服姿の女へ返った書類とペンは、見るからに重役らしいスーツ姿の男の手元に渡っていた。他の従業員達も、彼に用紙を渡していた。
「結果は見えているけれど」
「……何故私を見るの」
「貴女が一番、反応あったじゃない」
あずなとノゾミは、相変わらずぎこちない。
もとよりあずなはノゾミを毛嫌いしている。ノゾミはノゾミで陽気に見えて、実のところは難しい要素を内包したタイプのようだ。
彼女らの折り合いが良くないところで、乙愛でなくても納得がいく。