貴女は私のお人形
第1章 あの人はあたしの神様で、
「余興?」
今にとろけてもおかしくない乙愛の意識に、ノゾミの敵意が割り込んだ。
「ええ。殿方を呼んだ覚えはないわ。貴方達が施設のサービスマンなら、もう結構。お気持ちだけ受け取っておくわ」
「失礼ねぇ!アタクシはレディよ、この性悪女!」
「戸籍上、と書いたでしょう。ルールよ」
「神無月さん」
「このメンバーは、貴女の厳選なる抽選によって決められた。違いますか?」
「ごめんなさい、お姉様。野原リュウ様も田中様も、お名前を見た限り女性かと」
ぼそりと澄花が口を挟んだ。
「こちらに落ち度があったことは、ごめんなさい。けれど、他の皆さんの動揺を招くことになるかも知れない。そんな配慮もして下さらないなんて」
「……コテージですよ。別に、混浴に入る訳でもない」
「お姉様」
今度はそっと、澄花が純に耳打ちした。
「彼らを追い返しては、宿泊施設のキャンセル料が発生します」
「…………」
「…………」
「……え?」
「ですから、彼らを追い返しては、私達の赤字になります。……今月の電気代、払えなくなるわ」
「それは──…困るわ」
吐き捨てるような澄花の最後の一言が、追い討ちになった。