貴女は私のお人形
第2章 煌る場所にいるはずで、
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豪華賞品付きオリエンテーリングは、二人一組での対戦だ。
澄花の用意したあみだくじを引いて、同じ色が出た者同士がペアを組む。ペアになった二人で、『パペットフォレスト』の敷地内や山の麓の小さな町を散策しながら、課題をこなしてゴールを目指すというルールである。
「くじは皆さんお引きになりましたでしょうか?何か質問のある方は?」
白い丸テーブルにくじの入っていたペン立てを置いて、今日もきびきびと司会進行を務める澄花に、ノゾミが挙手した。
「はいはぁいっ!ノゾミちゃん質問ですっ」
「田中様、どうぞ」
「さっき、純ちゃんと澄花ちゃんもくじを引いていましたわよね?二人の内、どちらかがオリエンテーリングで一番乗りしちゃったら、豪華賞品はどうするんで・す・かぁ?」
黒い巻き髪にちょこんと黒いリボンを結んだ隙のない乙女、ノゾミはあざとく小首を傾げた。黒いドットドビー素材のブラウスに、黒いフリルのスカートが、小麦色の彼の肌をいくらか色白に見せていた。
ファンデーションは今朝も薄く刷いてある。そこまでして、無精髭は残っている。
「お姉様──失礼。純は、方向音痴ですからご安心下さい」
「澄花!」
神妙に進行係を務める澄花を、純が睨んだ。