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貴女は私のお人形

第2章 煌る場所にいるはずで、








 続いてゴールしたのは、里沙とリュウのペアだ。

 二人とも、元から豪華賞品の獲得権がない澄花同様、その顔つきは淡白だ。


「言ったろう。すずめが側にいてくれなければ、俺は何にも出来ないと」

「リュウ様……ただ急ぐの嫌いなだけでしょ」

「それは違うな。すずめのためなら、俺は急ぐ。しかし、他の女性のために急いでは……神に裁きを受けよう」


 リュウがすずめの手をとった。

 まるでお伽噺の姫と王子を気取った二人は、周りも目に入らない風で目と目を交わす。


 里沙は、ゴールした途端に提出物も投げ出したリュウを、全く不快がっていない顔をしている。「すずめさんに会えて良かったわね」とまで一声かけてやる辺り、根底からのお人好しなのか。


  
「あら、文月様とすずめ様は四つ葉のクローバーを見つけられたんですか」


 今しがた乙愛が提出した最後の問題用紙をめくった澄花が、瞠目した。

 二枚中二枚目の問題用紙の枠内に、四つ葉のクローバーがセロハンテープで留めてあった。


「さすが、勝利の女神」

「何言ってるの……」


 すずめの指に、リュウの唇が触れた。


「あの、リュウさん。良かったらここどうぞ」


 乙愛はいたたまれなくなって、腰かけていたベンチを退いた。

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