貴女は私のお人形
第4章 それでも、どんな真実があったとしても、
本当に、乙愛は自分が分からない。
例えばもし、純が今度『乙女の避暑』初日の夜の宴席での時のように、リュウを邪険にしたとする。さすれば乙愛は、友人の肩を持たないかも知れない。
純が関われば、乙愛はリュウを庇えない。そこにすずめがいたとしても、純がリュウを排除したがれば、乙愛は彼を庇えない。
「四十八」
「四十八です!さぁ!リーチのお嬢様は挙手を!」
「ごめん」
「はい?」
「困らせちゃったね」
「いえ、そんな……」
むしろ、誰の前でも意思を曲げないあずなが好きだ。
乙愛は、彼女の手がける個人製作ブランド『ドクイチゴ』と同じくらい、彼女自身を好きになっていた。
本当に、純様の次に格好良いわ……。
「乙愛ちゃんって、綺麗だなぁ。神無月さんやすずめちゃんから奪うには、どうすれば良いんだろ」
戯言も、純の次に上手いと思った。
* * * * * * *
澄花によると参加賞の等級らしいが、あずなと里沙に行き渡った賞品も、乙愛やすずめからすれば逸品だった。ビンゴ大会が閉会して、三十分程度の休憩が明けると、『乙女の悩み相談室』の準備が整った。
素敵なロリィタになる秘訣を説いて欲しいというすずめの相談に始まって、たった今挙がったあずなの相談に対しては、純より澄花が主だって回答していた。インディーズブランドがリピーターを増やすには、どうすべきかといった相談内容だっただけに、スタッフである澄花の方が適していたのだ。
「では、三人目の質問ね。『妹が、神無月さんを好きで好きでたまりません。夜も眠れないほど好きです。どうすべきか教えて欲しがっています』……。これは野本さんによるご相談です」
書類を読み上げた純が、顔を上げた。
今度は里沙の相談だった。
正確には、彼女の妹の悩み相談か。