貴女は私のお人形
第4章 それでも、どんな真実があったとしても、
「お茶は、いけません」
やはり、澄花には異議があるのだ。
それで構わない。身に余る幸運を享受してはいけない。純の気持ちだけ受け取っておく。それが分相応だ。
「本館にある完全個室制のダイニングバーを、予約しておきます」
「澄花?」
「喫茶店は、営業時間が短いでしょう。だからお茶は良くないわ。夜からでは、すぐに追い出されてしまう」
「それは困るわ。予約、頼める?澄花」
「任せて下さい」
乙愛の意識がクエスチョンマークに埋もれてゆく。純と澄花のやりとりが、途方もなくなる一途を辿る。
このままでは本当に、乙愛の一生分の運は払底する。
「おと姫ー……しっかりしなさい」
「文月さん。差し支えなければ、今夜八時、本館のダイニングバー『迷宮ドール』へいらして頂戴」
「あっ……」
「はい!文月さん行くそうです!」
すずめが代わって快諾した。