
好きって言わない!
第9章 水と油と翔と潤と猫。
A「にの、」
その手をまーくんが掴んで、引き戻される。
N「・・・なに、」
A「こないだの・・・ゴメンね?」
N「・・・??」
A「・・・キス。」
N「・・・え?!」
A「にのちゃん、泣いてたから・・・
嫌だったかなって気になってたんだけど、なんか恥ずかしいしなかなか謝れなくて・・・」
俯いて喋るまーくんは元気がない。
そんな事気にしてたのか・・・
嫌なわけないじゃん。
N「・・・泣いてねーし。」
A「・・・泣いてたじゃん。」
N「泣いてねぇっての。」
A「・・・そうだっけ。」
ふふ、と笑ったまーくん。
まだ掴まれたままの手を、きゅ、と握り返した。
N「・・・キスが嫌とかも思ってるわけ無いだろ。
元々俺が持ち掛けたんだ。」
A「うん。」
N「・・・嫌じゃないから。」
A「うん。」
だから。
俺はもっとキスしたい。
そんな事は言えるハズもなく、中途半端に言葉を濁して、繋いだ手も離した。
N「・・・行くぞ。」
良い加減家を出ないと待ち合わせに遅れてしまう、そう思ったのに。
