好きって言わない!
第9章 水と油と翔と潤と猫。
キスの時みたいに顔が近い・・・!
A「ゴメン、大丈夫?」
至近距離のまま喋る声に、ドキドキと心臓がうるさく鳴る。
N「まーくん・・・、」
どうしよう、唇から目が離せない。
さっきみたいに、ちゅ、ってキスしてほしい・・・
A「にのちゃん?」
N「まーくん、」
俺を見つめるまーくんの頬に手を伸ばそうとした瞬間。
S「おい!どーすんだコレ!!」
N「へ?!」
A「・・・あちゃー。」
翔の声にハッと我に返って飛び起きた。
危ない・・・今俺何しようとしてた?!?!
A「まぁ、良いんじゃない?
猫ちゃんがメロメロになってくれたらそれで良いんだし。」
見ると、翔が粉だらけになっている。
転んだ時にマタタビの袋は翔に飛んでいってしまったらしい。
S「良くねぇよ!俺猫キライだし!」
M「・・・何やってんだ。」
トレイを抱えた松本が怪訝な表情で俺たちを見ている。
相変わらず睨まれてるし不機嫌そうではあるんだけど・・・
ANS「「「・・・・・。」」」
目の前のガラスのローテーブルに、カップとソーサーが並べられる。
中には、綺麗な赤い色のお茶が揺れていた。
ものすごく良い香りだ。
コトン、とクッキーの入ったお皿を置いて松本はまたキッチンへ戻った。
思わず3人で顔を見合わす。
S「・・・これ、あいつが淹れたのか?」
A「にのちゃんがお茶出せとか言うから!」
N「いやいやこんな持て成しを要求した覚えは無い。」
ていうか・・・
ANS「「「あいつヤンキーなんだよな?」」」
いや、ヤンキー云々の前にこんな上等な紅茶を淹れられる高校生なんかいないだろ。
せいぜい麦茶とポッキーだろ。