好きって言わない!
第2章 知らんぷりの恋。
A「大丈夫?なんかすげー可愛い声出してたけど。」
N「なっ・・・」
かかかかか可愛いだと?!
んな声出してねーよ!!
しかし若干自覚があったせいで、すぐに文句を言えなかった。
くそーーー!!
N「離せバカっ!!
だいたいお前のせいで転びそうになったんだろうが!!」
A「うひゃひゃっ♪確かに。笑
ごめんね、にのちゃん♪」
体勢を整えたあとも、俺の肩に手をまわして歩くまーくん。
なんでだろう。
顔が熱い。
まーくんに触れられてる肩も。
A「今日もおばさん夜勤だろ?
俺部活あるから、先に俺ん家帰ってて。」
N「なんでだよ、自分ん家に帰るわ。
帰ってきたら連絡よこせ。」
A「えー、俺の部屋で待ってれば良いのに。」
N「だから何で。」
A「だって、誰かが待っててくれるのって嬉しいじゃん。」
N「・・・」
まーくん家は共働きだ。
おばさんは夜勤こそ無いが、帰りは19時を過ぎる。
おじさんは単身赴任中で滅多に家にいない。
昔から、俺たちは忙しい親たちを見て育ってきたんだ。
学校から帰ってきて、親が居ないのなんて当たり前になってるけど・・・
まーくん、ずっと寂しいと思ってたのかな。
A「にのちゃん?どうしたの?」
N「・・・別に。」
まさかな・・・寂しい、なんて。
高校生にもなってあり得ないよな。
だいたい、寂しがるようなキャラじゃないっての。
いっつもバカみたいに笑って、底抜けに明るいこいつだよ?
チラリとまーくんの顔を盗み見ると、思ってるより顔が近くて少し焦った。