好きって言わない!
第11章 翔と潤の場合。
S side
さっさと成績を上げさせて、関わりを絶とうと思った。
挑発してやれば、反抗しながらも乗ってくると思ってたんだ。
だけど。
こいつの部屋に上がって、本棚や机の隅に置いてある沢山の参考書を見て驚いた。
随分専門的な内容の物もある。
さらに、紅茶の淹れ方もそうだが、歩き方や座ってる姿勢、動きのひとつひとつが学校にいる時とまるで違う。
ちゃんと教育されている。
こいつ、思ってる程バカじゃないかもしれない・・・
いや、学校であんなナメた態度取ってるし、実力テストでは引くくらいの点数しか取ってないんだ。
初めの印象通りかもしれないけど。
S「・・・・・。」
それにしても・・・
眉間に皺が寄っていない松本は、なんだか幼く見える。
髪が頬にかかっていたので、どけてやった。
M「ん・・・・・」
身じろいだ松本が俺の方へ顔を向ける。
ふーん・・・
確かに、皆が言うように綺麗な顔をしている。
目を閉じているせいで、長い睫毛が良く分かる。
凛々しい眉と黒々とした綺麗な睫毛、薄くて赤い柔らかそうな唇。
そして、少しウェーブのかかった長めの黒髪。
エキゾチックだな。
女だったらさぞかし美人だろう。
勿体無い・・・
M「んん・・・・・」
顔の向きが変わったから、部屋の明かりが眩しいのかもしれない。
顔を顰めて目をこすっている。
起きるか・・・?
M「・・・・・。」
薄っすらと目を開けた松本が、ぼんやりと天井を見ている。
やがて、キョロキョロとして俺を見つけた瞬間。
M「・・・てめぇ、何してやがる!!」
ガバッと飛び起きた松本に思い切り睨まれた。
驚いた猫も飛び起きて逃げて行ったので、ようやく俺は拷問から解放された。
S「コッチのセリフだ。
俺の膝枕で熟睡してんじゃねーよ。」
M「膝枕・・・?!」
S「何で男相手に膝貸してやんなきゃなんねーんだ・・・
そんな趣味ねぇっつーの!」
M「なっ・・・俺だってねぇよ!」