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好きって言わない!

第2章 知らんぷりの恋。





終業のチャイムが鳴ると、教室は一気に騒がしくなる。




部活に入ってる奴は大急ぎで部室に向かい、暇な奴らは友達と輪になって適当に喋る。




大声で笑う程に面白い事があるのか?
何がそんなに楽しいんだろう。




ドア近くで騒いでいる奴らの横をすり抜けて、さっさと教室を出る。




「二宮くん!バイバイ!」




輪の中の1人が、俺に手を振る。



N「・・・ああ。」




名前を知らないから、短く返事だけを返した。
こんな無愛想なやつに声をかけるなんて、奇特な人間もいるもんだ。




入学してから2週間ほど経ったが、明らかに俺は浮いていた。




言葉を交わしたクラスメイトは、数人。
それも必要に迫られての会話だ。




俺によく話しかけてきた隣の席の奴も、俺がたいした反応をしないので話しかけてこなくなった。




別に極度の人見知りを発症しているわけではない。
人付き合いが嫌いなんだ。




まわりが必死にお友達作りをしているのをバカらしいとすら思っていた。




もしかしたら、俺は社会不適合者なのかもしれない。
それについて全く悩んではいないけど。




悩んではいないけど・・・
まーくんと同じクラスだったら良かったのにな。




1人でいることは苦じゃないし、むしろ楽だから好きだ。
でも、まーくんと一緒に居るのは楽しかった。
1人と同じくらい、楽だった。




中学3年間はずっと同じクラスだったのに・・・




よりによって、まーくんは1組、俺は6組で端と端。
学校にいる間は姿を見ることすら無かった。




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