好きって言わない!
第13章 俺のもの。
A「もうヤダ、帰る〜。」
S「まだ終わってねぇ!」
A「翔ちゃん怖いんだもん!
にのちゃん助けてーっ!」
俺に泣きついてきたまーくんの頭を、よしよしと撫でる。
S「ニノ、甘やかしてっと雅紀の為になんねーぞ!」
まぁ、そうなんだけど。
でも無理やり勉強に縛り付けてもなぁ・・・
すがる様な可愛い目で見つめられて、思わずキュンとなる。
S「やる気出せっての!!
コラ、雅紀寝るな!!」
A「むーりーーー!!」
その時、コンコン、と控えめなノックが聞こえた。
「お茶をお持ち致しました。」
A「やった!休憩!!」
S「適当に置いといてくれ。」
「かしこまりました。」
着物姿の女性が、ティーカップを静かに俺の前に置いた。
ふと目が合うと、ニッコリ笑う。
30歳くらいだろうか・・・綺麗な人だ。
A「ひゃー、美人だねー。
てか洋風の家なのに着物なんだね。」
S「俺の趣味。」
A「え!!翔ちゃんエロ!!」
N「まーくんうるさい。」
A「だってメイドさんに趣味で着物着させるなんてさ、エロじゃん!」
N「まぁそうだな。
翔、お前変態だな。」
S「何とでもどうぞ?
普通より変態の方が人間として深みがあると思ってるからな。
エロい・変態は俺にとっては褒め言葉だ。」
A「翔ちゃんて変わってるよね。」
ああ、変人だ。
また褒め言葉に捉えられてもイヤだから言わないけど。
A「でも、翔ちゃんがこんなお坊っちゃんだったなんてねー!
メイドさんが居る家、初めて見たよ。」
改めて部屋を見渡して、まーくんが感嘆の息をつく。
翔の自室だというが、俺ん家のリビングより広い。
これだけの坊っちゃんで、成績優秀、眉目秀麗ときたらそりゃ性格くらい歪むわな。