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好きって言わない!

第13章 俺のもの。





ニヤリと笑った翔が、次の瞬間には眉を下げて首を振った。




S「してくれなかった。」



A「ええ?!」



S「だから、押し倒しちゃった。」



A「えええ?!」




前のめりになって話を聞いていたまーくんは、もうテーブルに乗り上げる勢いだ。




N「まーくん、落ち着け。」



A「落ち着いてらんないでしょ!!
翔ちゃんがあの美人なお姉さんを押し倒しちゃったんだよ?!」




ああもう、嫌になってきた。
こんな話でまーくんが興奮してるとこなんて見たくねーんだけど。




N「はぁ・・・無理やりしたキスなんか嬉しいのか?」




若干八つ当たり気味に翔を睨んだ。




S「嬉しくなかったよ。
しかも、ベッドに押し倒したのに、ろくに抵抗されなかった。
俺も勢いで押し倒したもののどうして良いか分からなくて固まっちゃってさ。
情けないガキだよなぁ・・・」




テーブルに置いたカップをくるくると指で回しながら、楽しそうに話す翔。
やっぱり初恋だったんだろう。




S「で、固まってる俺に向かってさ、
“ あ、気が済みました?じゃあ勉強の続きしましょう。”
ってニッコリ笑いながら言うんだよ。
何事も無かった様に教科書広げるんだぞ?
もう泣きそうだったよ俺。笑」



N「ざまーみろ。」



S「うるせぇ!笑」




・・・今も好きなのかな。
家庭教師の契約が終わっても、そばに置いてるんだし。



ふと目が合った翔が、俺の考えを見透かしたように笑った。




S「もう何も思ってないよ。」



N「ふーん。」




まぁ、彼女いるって言ってたしな。
ずっと想い続けるような一途なタイプじゃなさそうだし。




S「まぁ、ファーストキスの相手ってのは特別だけどね。
忘れらんないな。」



N「・・・・・。」




ファーストキス・・・
ていうか、俺はまーくんとしかキスした事ない。





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