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好きって言わない!

第21章 不機嫌な2人。




M side





M「っ・・・、」




クソ・・・
思い出してしまって体が熱くなる。
テスト前日の日も、櫻井はソファのクッションを使って寛いでいた。




夜、ふらりとやってきて勉強を見てやると言った櫻井。
当然拒否したが、人の意見を聞くような奴じゃない。




それに・・・






S「・・・なぁ、お茶淹れて。温かいやつ。
甘くないのが良いな。」




急に声を掛けられて、思わずビクッとなる。




櫻井がソファに寝転びながら、俺に手を伸ばす。
その手が髪に触れた。
寝てると思ってたのに・・・




櫻井の指が、俺の頬を少しだけ掠めた。
・・・ほら、こういうところ。




人の話は聞かないし、バカにしたような発言ばかりするくせに。




俺に触れる手が優しい。
それに戸惑って、強く言い返せなくなるんだ。




M「・・・・・。」




S「ふぁ・・・。」




やっぱり眠いみたい。
俺にお茶を頼んだくせに、ウトウトとして今にも寝てしまいそうだ。




寝ろ。
寝てしまえ。




ユックリ目を閉じた櫻井を見て、心の中でガッツポーズをした。
これでしばらく大人しいだろ。




M「・・・・・。」




寒くないかな。




M「いやいや、寒くて風邪ひこうが知ったこっちゃねぇ。」




勝手に人の家に押し掛けてくる迷惑な野郎だ。
むしろ風邪をひけ。




M「・・・・・。」




でも・・・



さっき温かい紅茶が飲みたいって言ってたな。
やっぱ寒いのか?




そろりと寝顔を覗いてみる。
スヤスヤと眠る表情は、いつものクソムカつく意地悪な櫻井とは全く違っていて。




美少年だな、と思った。




コイツ、こう見ると結構童顔かも。
すました顔してるとそう思わないけど、寝てると随分可愛いっつーか・・・





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