
好きって言わない!
第21章 不機嫌な2人。
M side
砕いた氷をグラスにたっぷり入れて、蒸らした紅茶を一気に注いだ。
カランっと音を立てて氷が溶ける。
きっと、あいつはアイスもストレートで飲むだろう。
グラスをふたつ持ってリビングに戻った。
相変わらずテキストから目を離さない櫻井。
S「座れ。とりあえず付箋貼ってるとこ順番にやってって。」
むぅ。
アイスティー淹れてきたのに。
M「・・・・・。」
黙ってテーブルにグラスを置いた。
それにも気付かずテキストに目を向けたまま。
ふん・・・
別に飲んで欲しかったわけじゃねぇし。
ついでに淹れただけだし。
冷たいアイスティーに口をつけながら、櫻井が貼った付箋のページを開く。
俺のニガテな問題を重点的に選んであった。
汚い字で、解くポイントなんかも殴り書きされている。
俺が風呂入ってる間に、用意してたのか・・・
チラリと横目で櫻井を盗み見る。
内申点稼ぎだって分かってるのに。
俺の為じゃないって分かってるのに。
ちょっと嬉しいなんて・・・
そう思う自分はどうかしてるよ。
