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好きって言わない!

第21章 不機嫌な2人。





M side





今度こそ怒られるかと構えたのに、櫻井は特に何も言わず俺からノートを奪うと採点をはじめた。




あれ、居眠りしてたの怒んねぇのか?




S「別に数やりゃ良いってもんでもない。
そういう勉強法もあるけどな。」




俺の心を見透かしたように答える。




S「もうだいぶ遅い時間だし・・・
これ終わったらもう寝るか。」




テスト中に眠いのも問題だ、と笑った櫻井は、いつもよりあどけない笑顔だった。



さっき拗ねた顔を見たせいなのかな。
それとも櫻井も少し眠くなってて、普段澄ました顔を作っている表情筋が緩んでいるのか・・・



ふいに見た可愛い笑顔になぜかドキっとしてしまった。





S「はぁ・・・。」



M「え?!」




大きな溜息をついて、俺をジロリと見た櫻井。
こ、怖い顔。




S「まーたしょうもないミスを・・・
引っかけ問題に素直に引っかかってんじゃねぇよ。」



M「ええっ?!」



S「単純なんだお前は。」




バサっとノートを投げるようにテーブルに置いて、大きなあくびをした。




S「もう眠いんだけどなぁ・・・
まだ付きやってやんなきゃなんねぇのか・・・」



それとも、と俺に距離を詰めた櫻井。
俺と同じシャンプーの香りがした。




S「さっきの・・・
真に受けてわざと間違えたのかな?」



M「は・・・」



S「キスしてほしいなら、ちゃんと言えばしてやるよ?
わざわざ問題ミスんなくても。」




いつもの高圧的な口調では無く、どこか宥めるような言い方。
色っぽい視線で試すように俺を見る。



わざと間違えたわけじゃない。
引っかけ問題なんて気付いてなかったんだ。




M「・・・・・。」




放られたノートを掴んで、消しゴムで乱暴に消す。
どこが間違ってたんだ・・・



分からない・・・



そんな俺の様子を黙って見ていた櫻井が、ふふ、と笑った気がした。



クソ・・・
ムカつく・・・
分かんねぇよ・・・




S「ココ。」



ふわりと、櫻井の体温が近くなった。
俺のノートを覗き込む櫻井の顔がすぐ隣にある。




S「あとココが違う・・・分かる?」







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