好きって言わない!
第21章 不機嫌な2人。
M side
まだスヤスヤ眠っている櫻井を蹴っ飛ばす。
S「うぐっ・・・イテェな何すんだ!!」
M「起きろ!!」
S「もっと他に起こし方あるだろ!!」
M「ねぇよ!!」
急いで顔を洗って制服に着替える。
カバンに教科書を詰め込んで、早く行くぞと櫻井に声をかけようとした時。
思ったより近くに居た櫻井が、俺の頬にキスをした。
M「なっ・・・!!」
S「ははっ、変な顔。笑」
M「何してっ、」
S「だって、たぶんもう俺ココに来ねぇから。
お別れのキス的な??」
M「は?」
S「お前は大丈夫だよ。
ちゃんと結果を出せる。
しょうもないミスすんじゃねぇぞ?」
そう言って笑った櫻井の声は、今まで聞いた事ないくらい、優しかった。
なんだよ・・・
変態のくせに・・・
M「・・・俺先に行く。」
家を出てすぐ、そう言って駅までの道を走る。
別に遅刻しそうな時間では無いけど。
朝起きて誰かと一緒だなんて。
一緒に玄関を出て出掛けるなんて。
そんな事は久しぶりだ。
それがすごく嬉しいなんて、俺どうかしてるよ。
相手はあの櫻井だぞ。
意地悪で性格が悪くて・・・
でも、たまに優しい・・・。
M「・・・・・。」
今日のテストが終われば、あいつとはもう関わる事は無いんだ。
余計な事は考えるな。
心を揺らすな。
そう自分に言い聞かせて、駅まで1度も止まること無く走った。