好きって言わない!
第1章 イケメン幼馴染 まーくん。
ギャーギャー言いながら廊下を歩いていたら教師に注意されて。
入学早々、実力テストの成績がとんでもなく悪かったまーくんは、俺の腕を掴んで逃げるようにエントランスまでダッシュした。
N「ちょっ・・・、待って、」
正門の外に出てようやく足を止めたまーくんに、倒れ込むように崩れた俺。
こんな全力疾走、小学生ぶりかも・・・死ぬ・・・
A「あー、危なかった。
またテストの嫌味言われんの嫌だもんな。」
それ怒られんのは、お前が悪いんだろ。
ぜぇぜぇと息も絶え絶えの俺を見て、まーくんがふっと微笑む。
A「にのちゃん、ちょっと運動不足なんじゃない?」
N「うるせー!
運動部と帰宅部の体力の差を考えろっ。」
A「それにしたってなぁ・・・
大丈夫?おんぶしてやろっか?」
N「いらねぇわ!」
ふらふらの俺を見ておかしそうに笑うまーくん。
腹が立つので、俺のカバンを押し付けて持たせてやった。
ジュースも奢らせてやろうかな。
A「にのちゃん、見て。」
N「なんだよ。」
A「夕陽、すっげぇキレイ!!」
見上げた空は、優しいオレンジ色が広がっていた。
雲ひとつない空にキラキラ輝く大きな太陽が眩しくて、目を顰める。
A「ね?キレイでしょ?
なんか良い事ありそー♪」
N「・・・単純。」
恥ずかし気もなく、空がキレイだと素直に喜べる人間なんてきっとまーくんだけだ。
少なくとも俺の知る限りでは。
そういう所、わりと好きなんだよな。
俺には無い部分。