好きって言わない!
第26章 Painful love。
A side
A「・・・・・。」
にの・・・
ホントに帰っちゃったのかな。
ポツンと教室に1人でいると、寂しくなってきた。
頑なに保健室に行かなくて良いと言った俺に、彼女は湿布だけ貰ってくると保健室に行ってくれた。
優しいよね。
何で俺なんかを好きなんだろう。
自分よりも、友達を優先するような男なのに。
・・・友達、なのかな。
A「にの・・・」
教室ににのが飛び込んできた瞬間、俺は固まってしまった。
彼女と一緒にいたから。
一緒に帰れないから、ちょっとだけでも会いに来たという彼女は可愛かった。
俺に抱きついて、ホッペにチューされた瞬間だったんだよ。
にのがドアを開けたのは。
見られてはいないと思う。
A「・・・見られてないからなんだって言うんだ。」
男友達に彼女とのイチャイチャを見られるくらい、どうって事ない。
普通なら。
A「普通じゃないんだよね・・・」
にのには、彼女と一緒にいるところを見られたくない。
にのには、彼女の話もしたくない。
俺、ヤバイよ・・・
にのを抱きしめる度に、キスをする度に普通じゃなくなっていく。
今だって彼女との時間のはずなのに、にのに会いたくてたまらない。
A「にのちゃん、1人で帰ったのかな・・・」
ふと教室の窓から校庭を見る。
見慣れた後ろ姿をすぐに見つけてしまった。
A「・・・・・。」
翔ちゃんに手を引かれて歩くにの。
ああやって歩くのは俺のはずなのに。