好きって言わない!
第27章 ラブストーリーは突然に。
A「コンテスト終わったらすぐ着替えてね?」
N「・・・やっぱり変なの?」
A「え?」
まーくんはもっと可愛いってはしゃいでくれると思ったのに、そうでもなかったし。
終わったらすぐ着替えろとか・・・
なんだよ。
やっぱり俺のお姫様なんか気持ち悪いんじゃないのか。
N「・・・コンテスト、出ない。」
A「え?!」
N「やっぱりヤダ!
お姫様なんかやりたくない!!」
ポロポロと零れる涙は止められなかった。
あーあ・・・
女装したうえに泣くなんか最悪。
絶対ぶっさいく。
「二宮くん・・・ちょっと、どうしたの?!」
俺を着付けてくれた女子が慌てて飛んでくる。
「何があったの?
ちょっと座って落ち着いて・・・」
「ゴメン、化粧落ちちゃうね・・・」
A「ねぇ、にの、」
S「ニノは化粧しなくても可愛いから大丈夫だよ。」
いきなり声を掛けられて驚いた。
振り向くと、違和感なく王子の格好を着こなしている翔がニッコリと微笑んでいた。
N「・・・翔!!」
俺が泣いているからか、女子が開けっ放しにしたままだったカーテンをぴっちりと閉める。
S「驚いたな。想像以上だよ。」
カツカツとブーツを鳴らして座っている俺の前まで来ると、ウィッグの髪に触れた。
S「可愛いよ、白雪姫。」
N「なりきってるなお前。」
S「お前じゃない、プリンスチャーミング。プリス王子だ。」
クサイ演技だな。
THE・王子様の格好をした翔にまわりの女子がうっとり見惚れている。
S「これから本番だって言うのに・・・
ウチの姫の機嫌を損なわせないでくれよ。」
真っ赤なマントを翻してまーくんに向き合うと、腰に差した剣を抜いてまーくんに向ける。
N「翔!!」
S「姫を泣かせた罪は重いぞ?」
まわりがキャーキャー騒がしい・・・
気付けば、隣のクラスの女子もカーテンから覗いていた。
翔のやつ、コンテストに向けて点数稼ぎか?
ふざけた奴というかクソ真面目っつーか・・・