
好きって言わない!
第27章 ラブストーリーは突然に。
S side
『それでは、王子と姫の素敵なダンスをお楽しみ下さい!』
アナウンスと共に音楽が流れる。
いまだブスッとしたままのニノをエスコートして踊りながら、雅紀に視線を送った。
雅紀は絶対こっちを見てるはず。
・・・ほら。
あいつ、ニノしか見てないじゃん。
慣れないダンスに必死のニノは全く気付いてない。
雅紀、代われ。
口パクで伝えると、驚いた顔をする。
ふふ、始めからこうするつもりだった。
だからお前らを王子と姫にしたんだぞ。
不機嫌な白雪姫とジャスミン。
当たり前じゃないか、だって王子が違ってるんだ。
踊りながら雅紀とすれ違う。
その瞬間、ニノをトンと押した。
N「えっ・・・?!」
雅紀が、転びそうになったニノの腕を引いて自分の胸に抱きとめた。
S「ははっ、ナイスだ雅紀!!」
今度は呆気に取られている潤の手を取った。
さっきから見てりゃ、全然踊れてねぇじゃん。
せっかく美人なのに台無しにしてんじゃねぇよ。
M「お前っ・・・!」
S「随分教養のなってないプリンセスだな。
言葉を慎めよ。」
M「はぁ?!」
くるっと回って潤の腰に手をまわして、真っ直ぐに見つめる。
全くダンスの練習をしていないらしい。
ステップひとつ出来ない潤が拗ねたように俯いた。
S「ホントにお前は仕方ねぇな・・・」
こんな大観衆を前に、ただ突っ立ってるつもりだったのか?
S「俺の首に手をまわせ。
下を見るな、俺を見ろ。」
M「・・・・・。」
S「潤、」
恐る恐る腕を伸ばしてきた潤が、俺に身を委ねる。
俺も両手を潤の腰にまわして引き寄せた。
