好きって言わない!
第29章 unsuitable。
M side
S「ニノも可愛いけど、タイプじゃない。
俺はお前みたいな美人系が好きなんだ。」
M「お前のタイプなんか知るかよ。」
そう言いつつニノより俺を選んだ事に少し嬉しく思う自分がいる。
最悪だ・・・
こんな事で喜ぶな俺。
S「男とセックスって想像以上だったよ。
ヤバイくらい興奮したね。
しかも女と違って必要以上に構わなくて良いし。
セフレにするなら男にしろって全国の男子に教えてやりたいよ。」
M「・・・相変わらずクソだな。」
S「そうかな?素直な意見だよ。」
やっぱりこいつは俺をセフレにしようとしてるのか・・・
S「さて、誰も居ない室内に先日セックスをしたばかりの俺たちが2人っきり。
やる事はひとつしか無いと思わないか?」
M「思わない。」
ふふ、と笑った櫻井が俺の手を力いっぱい引いた。
M「っ・・・!」
櫻井の胸元に飛び込む形になってしまい、思わず固まる。
櫻井の匂い、体温。
S「潤・・・」
低くて甘い声が・・・
S「俺の腰に手をまわして。」
M「・・・・・。」
S「潤、」
また、甘い声。
こないだのセックスの最中も、こんな風に優しい声だった。
S「ほら、こうやるんだよ。
イチャイチャしようぜ?」
俺の手を取って、自分の腰にまわす。
優しい笑顔にドキっとしてしまう。
ズルいだろ・・・
普段冷たい口調で俺をイライラさせるくせに。
こういう時だけ優しい。
ふんわりと抱きしめられて、なんだか胸が苦しくなった。
喜ぶな。
こいつが甘く囁くのも、優しい笑顔で見つめてくるのも・・・
俺を好きだからじゃない。
分かってるのに。