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好きって言わない!

第29章 unsuitable。




M side




“あれ、怒らないの?”
って顔で俺を伺ってんのがなんつーか・・・




ちょっと可愛い。





あーあ・・・
惚れた弱味ってやつか。




M「・・・俺はもう戻るぞ。」




さっきのキスでドキドキしたままの心臓。
もしかしたら顔が赤いかもしれない。




さっさとこの場から逃げようとしたその時。




S「ちょっと待て。」




M「なんだよ。」




S「それ・・・なんだ?」




俺の足元を指差す櫻井。
たくさんのアヤメが咲いているすぐ隣に、こんもりと小さな山がある。




確かに、ここだけ違和感がある。
土の感じからしても最近作られたっぽいし。




M「もしかして・・・」




S「宝探しゲームの・・・?」




忘れかけてたけど、今は学祭の宝探しゲームの真っ最中だ。
他の生徒も校内のいたるところで宝を探している。




S「正直、イルカを見つけて満足してる感はあるが・・・
とりあえず掘ってみるか。」




確かに・・・
必死になって探したイルカのキーホルダーは見つかった。
母さんの好きなアヤメも見つけた。




ドキドキ落ち着かなくて疲れるけど、櫻井とずっと一緒にいられたし。




もう充分すぎる。




このうえ宝まで見つけたら胸焼けしちゃうんじゃねぇかな。




そんなバカな事を考えながらボケっとしていると、櫻井が勢い良く振り返って・・・




M「・・・マジ?」




S「マジ。」






その手には輝く宝箱があった。









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