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好きって言わない!

第30章 台風ジェネレーション。




M side




やっぱり半身浴でリフレッシュしよう。
映画のエンディング曲を口ずさみながら、風呂を洗いに行こうとしたその時。




ピンポーン。




M「・・・・・。」




モニターを見て、ウンザリした。




・・・いや、正直に言おう。
数日ぶりに見るその顔に心が動く。
俺、今嬉しいと思っちゃってるよ。





M「・・・なんだ。」





S『開けろ。』




ぶっきらぼうな口調の、端正な顔をした男。




土曜日だぞ。
デートとか行かねぇの?




彼女のとこでもなく、
セフレのとこでもなく、



・・・俺のとこに来た。




こんな事で喜ぶ単純な自分に呆れる・・・




M「勝手にしろ。」




エントランスのロックを解除して、玄関の鍵も開けた。



テーブルにほりっぱなしだったDVDと飲みかけのグラスを慌てて片付ける。




・・・落ち着け。




こんなにソワソワしてたら変に思われる。
いつも通り、喧嘩腰で愛想悪く・・・
って最悪な関係だな俺たち。




当然か。
友達でもないし・・・



小さくため息をついたところで、ガチャっとドアが開く音がした。




S「よう、俺からの連絡を無視し続けるなんて良い度胸だな?」




M「・・・忙しくてお前に構ってる暇が無かったんだよ。」




櫻井に背を向けたまま、感情を乗せずに喋る。
来てくれた事が嬉しいなんておくびにも出さない。




S「相変わらず腹立つ奴だな。」




M「お互い様だ。」




S「はははっ!間違いない。笑」





友達じゃないけど。
セフレですらないかもしれないけど。




S「お茶淹れてよ。」




ドサリとソファに座って、自分の部屋のように寛ぐ櫻井。




その態度に腹を立てるフリをしながら・・・




この男が俺に飽きるまでの時間が、少しでも長く続けば良いなと思った。






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