
好きって言わない!
第30章 台風ジェネレーション。
M side
「櫻井家のメイドでございます。
坊っちゃま、こちらの支度は済んでおります。」
メイド・・・?!
坊っちゃま・・・?!
M「てか、ミーコが抱っこされてる!!」
ニッコリ笑う和服美人の腕の中に、ミーコが気持ち良さそうに目を細めて抱っこされている。
ぽふぽふと頭を撫でられ、ゴロゴロと喉まで鳴らしてるではないか。
S「エサさえあれば1日くらい放っておいても猫は平気だろうが。
お前は心配するだろうと思ってウチにブーコの部屋を用意した。」
M「は?!」
S「彼女は実家で猫を7匹も飼っていた程の猫好きだ。
安心して任せろ。
ウチのシェフに猫用メニューも用意させているが、もし好き嫌いがあるなら今のうちに彼女に伝えておいてくれ。」
「松本さま、櫻井家の使用人総動員でミーコさまをお世話させて頂きます。
どうぞ、温泉旅行をお楽しみくださいませ。」
M「・・・・・。」
マジかよ・・・
てか、噂には聞いてたけど、
こいつマジでとんでもないお坊っちゃんじゃねぇか!!
「坊っちゃま、そろそろお時間でございます。」
S「よし、行くぞ潤!」
M「ちょ、待て!!
俺まだ何も用意・・・
てか行くの決定かよ?!」
S「しょうがねぇな、服は俺のを貸してやる!」
M「おい、ちょっ・・・!!」
櫻井に手を掴まれて、ドキンと胸が鳴る。
くそ、たかが手くらいで・・・
なんとか財布とスマホだけをひっつかんで、ミーコに手を振りながら家をあとにした。
エントランスを出る直前、ふと足を止めた櫻井が俺を振り返る。
