
好きって言わない!
第30章 台風ジェネレーション。
ポカンとしてるまーくんを部屋に残して、なるべくユックリと歩いた。
ダッシュなんかしたら興奮おさまらないもん。
エントランスを無駄にウロウロしたり、自販機でジュース買って飲んだり。
だいぶ落ち着いてきたところでふと思い出した。
N「・・・あ、マジで時計忘れてるんだった。」
結構気に入ってる腕時計だし、失くすのはイヤだ。
もしかしたらフロントに届けられてるかもしれないけど。
チラリと浴場を覗くと、誰もいない。
もう遅い時間だしな。
N「あ、あった!!良かったぁ。」
無事腕時計を発見してホッとした時、ふと浴場から気配を感じた。
まぁ、こんな時間でも温泉に入る人はいるか。
たいして気にも留めず立ち去ろうとした俺は、次の瞬間自分の耳を疑った。
「あっ、あんっ、ああっ・・・」
N「・・・?!」
甘くて切ない声が微かに聞こえてくる。
これって・・・
あきらかに、やらしい事してるよな・・・
まさか、こんな温泉で。
N「ど、どうしよ・・・」
いや、どうしたもこうしたも無い。
さっさと帰ろう。
ちょっぴり興味はあるけど、覗きは犯罪です。
俺にも素敵な恋人がいるし!!
まーくんに気持ちイイ事いっぱいしてもらうし!!
もう覚悟決めたし!!
でも、ふと気付いてしまった。
「あんっ、ああっ、もっとユックリ・・・!!」
N「・・・。」
男の声じゃない??
そもそもココ男湯だし。
てかちょっと待って。
なんかこの声、聞き覚えのあるような・・・
まさかと思いつつ、そっと覗いてしまった。
温泉の湯気が立ち込める中に、絡まる人影・・・
