好きって言わない!
第6章 失恋。
N「・・・失礼しまーす。」
誰もいない静かな廊下を進んで、職員室のドアをノックする。
遅刻届けを記入していると、視線を感じた。
N「・・・・・。」
何でいるんだ。
S「おはよう、ニノ!」
今日も無駄に爽やかな笑顔の櫻井。
てかニノってなんだ。
S「もう体調は良いのか?
相変わらず顔色は悪いけど。」
N「ほっといてくれ。
あとニノって呼ぶな。」
S「雅紀も呼んでるから良いだろ。」
N「・・・・・。」
名前を聞いただけで動揺してしまう自分がイヤだ。
N「失礼します。」
先生に一礼して、さっさと職員室を出た俺は急ぐ必要もないのに早歩きで教室に向かう。
S「ニノ!!」
追いかけてきた櫻井が俺の腕を掴んだ。
N「・・・なんだよ。」
思い切り睨むと、眉を下げて困った顔をする。
S「何でこんな嫌われてんのかな、俺。」
N「別に嫌ってない。
興味が無いだけだ。」
S「今日は一段と機嫌が悪いな。
何かあったのか?」
N「・・・・・。」
失恋したんだよ。
なんて言えるか。