好きって言わない!
第6章 失恋。
S「あ、雅紀だ。」
N「え?!」
櫻井の視線の先、廊下の窓から見える校庭にまーくんがいた。
体育か・・・
S「おーい!!」
N「ちょっと・・・!!」
まーくんに向かって手を振った櫻井。
キョロキョロとしたまーくんがこっちを向いた。
N「っ、」
S「ん?」
まーくんが向いた瞬間、慌てて櫻井の後ろに隠れる。
危なかった・・・
S「・・・何やってんだ?」
N「え?!」
櫻井の背中のシャツを握りしめて、小さくなっている俺。
何やってんだマジで。
S「可愛いけど。」
N「は?!」
S「うおっ!!」
ドンと突き離すと、櫻井が前によろける。
S「お前なぁ、何なんだよ一体。
雅紀とケンカでもしたのか?
目元赤いし・・・泣いてたんだろ。」
N「え・・・・・、」
そんなに赤い目をしてるんだろうか。
ゴシゴシと目を擦ると、櫻井が俺の手を掴んだ。
S「擦るなよ、余計赤くなるぞ。
雅紀にバレたくないんだろ?」
N「・・・・・、」
S「てかお前ら幼なじみなんだろ?
そんな泣く程のケンカするなよ・・・。」
N「・・・ケンカじゃねぇよ。」
S「ん?」
ケンカなんかしてない。
俺が勝手にまーくんを。
N「・・・うぅ〜・・・、」
S「え?!おい・・・ええええ?!」
泣き出した俺に、かなり焦った様子の櫻井。
静かな廊下は声が響く。
S「・・・来い!!」
俺の手を引いた櫻井が、走って階段を駆け上がった。