好きって言わない!
第6章 失恋。
S「ここ、今度から委員会で使う教室。」
会議室のような部屋の中、俺を椅子に座らせた櫻井が不機嫌そうに言った。
S「お前な、職員室の前で大泣きすんなよ。
何事かと思われるだろうが!」
N「・・・すみませんね。」
ぷいっと顔を背けるとため息が聞こえる。
S「高校生にもなる男が大泣きするなんて、よっぽどの事があったんだろ。
話せよ、聞いてやるから。」
・・・こいつ、何考えてんだ?
S「別に興味本位で聞いてるんじゃない。
心配してるんだ。」
N「・・・・・。」
俺のすぐ前の椅子に座って、顔を覗かれる。
その顔が本当に心配そうにしてるから・・・
また潤みだす目を両手で隠した。
S「ココでなら泣いてもいいぞ。
まぁ、目が腫れない程度に留めたほうが良いとは思うけどな。」
そう言って俺にハンカチを渡す。
なんで、悪態ついてばっかの俺にこんな優しいんだ?
S「俺、クラス委員長だからな。」
ふふん、とドヤ顔で笑う櫻井。
もう委員長になったのか。
S「しかし、話を聞いてやれるのはこの授業中と休み時間・・・
合わせて30分も無い。
さっさと話してスッキリしろ。」
頭をポンポンと撫でられて、不覚にも素直に頷いてしまった。
・・・あんなに嫌いだったのに。
クラスメイトが櫻井を慕う理由が分かった気がする。
N「・・・失恋、したんだ。」
言葉にした瞬間、またポロポロと涙が溢れてきた。