
好きって言わない!
第32章 青春アクセル。
M side
ボケっとしながら、朝のニュースをぼんやりと眺めていた。
朝ごはんを食べる気にもならず、毎朝淹れていたお茶を飲む気にもならず。
ミネラルウォーターをグイッと飲み干して、ソファに倒れ込んだ。
寝不足だ・・・
眠れなかった。
イライラして、気を緩めたら泣きそうになって。
自分がこんな風になって、改めてあいつに本気で惚れてるんだって自覚してしまった。
なにがペットだ。
求められるまま、好きにされても良いと思ってた。
どうせ期間限定なら、自分も楽しもうと思った。
無理だよ。
無理だったよ。
あいつに彼女がいることも、セフレがいることも、分かってたのに。
目の当たりにすると簡単に傷付いて不安定になる。
俺だけを見て。
まさかそんなバカな事を考えてしまうなんて・・・
ミーコを迎えに行った時、いつもより機嫌の良さそうなあいつは俺に優しかった。
そして、求められた。
俺をその気にさせるような甘くて激しいキスに、優しい愛撫。
俺の瞳が好きだと言われた時、泣きそうになった。
ただのリップサービスだって分かってるのに、心が震えた。
もっと好きだと言ってほしい。
セフレを全部切ってほしい。
彼女と別れてほしい。
・・・俺だけを見てくれよ。
口には出さなくても、そう思ってしまっては終わりだと思った。
本気で恋をする相手じゃない。
そして、本音を隠したまま遊びでセックスを出来るほど、俺は器用な人間では無いみたいだ。
色々ムリして足掻いてみたけど・・・
限界だな。
俺とあいつは、無理だ。
そもそも、合わないんだ。
M「はぁ・・・・・・。」
大きな溜息を吐いて、天井を見上げた。
夜中に散々悩んで落ち込んで・・・
少しだけ、諦めがついたような気がする。
ミーコが隣に寄り添ってくれていたのが救いだった。
あんなに懐かなかったのに・・・
俺が落ち込んでるのが分かるんだろうか。
朝ご飯を食べ終わったミーコが、また俺の隣に戻ってきた。
M「優しいね、お前は・・・」
