好きって言わない!
第9章 水と油と翔と潤と猫。
S side
「理事長は彼をかなり心配している。
昔はおとなしい子だったらしいんだなぁ、女の子みたいに可愛らしかったそうだ。」
S「だからなんです。」
「面倒見てやってくれ。」
S「イヤです。」
冗談じゃない。
何で俺がそんな事をしなければいけないんだ。
だいたい、“お友達作り”に親が口出すなんて、どんだけ出来損ないのお坊ちゃんなんだよ。
「理事長はお前の秀才ぶりに感心してるんだよ。
お前が一緒にいてくれたら安心されるだろう。
それに、1組の相葉。
あいつは松本を友達だって言ってるらしいじゃないか。
副委員の二宮も仲良いんだろう?」
そうだ、ニノ。
あいつも俺と同じで松本と関わるのは反対だったはずなのに。
簡単に雅紀に絆されやがって・・・
S「理事長の期待に添えず申し訳ないとは思いますけど。
さっき言ったように松本のようなタイプは苦手です。
俺には無理です。」
「1ヶ月で良い。」
S「・・・は?」
「ただ友達になれと言うのも無責任な頼みだ。
だから、とりあえず目標を決めたらどうだ?
1ヶ月後に中間テストがあるだろう。
松本の勉強を見てやってくれ。
そこで、実力テストの時より順位が上がれば任務成功。
理事長もとりあえずは喜ばれるだろう。」
あいつ、実力テストは受けてたのか。
「自宅でね、家庭教師に頼んでテストを受けさせたそうだ。」
俺の表情を読んで担任が説明をくれた。
どこまでも特別待遇なんだな。
S「・・・乗り気になれないんですが。」
「1ヶ月我慢してくれたら、もうお前には松本の事で面倒はかけない。
約束しよう。」
S「・・・松本の成績は?」
用意周到な担任は、前回の実力テストの結果を俺に渡す。
S「ヒドイな。」
どうやったらこんなにヒドイ点数を取れるんだ。
こんな点数なら、下げる事の方が難しい。
少し勉強するだけできっと簡単に順位は上がるだろう。