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こじらせた初恋

第12章 それは突然

翔 side







翔「俺の気持ちわかってたよね?」



智「…」



翔「気づいてたでしょ?」



智「……何が?」



しらばっくれるつもりかよ。




俺は智が…



智の事が…





言葉が喉に張り付いてカラカラと乾いてる。




気持ちを乗せて言葉を吐く準備をする。









翔「……智が好きだよ」



やっと出た言葉が空を切る。



言いたかった言葉は届かない想いを乗せている。







智はこちらを見て言うなよ、という顔をしてくる。



やっぱり俺の気持ち知ってたんだ。



と同時に、ああ、間違えた、と思った。



今じゃなかったんだと。



だったらいつだったら正解なのか。



その正解がいつまでの俺の中で出ないでいた。







智は目を反らして下を向く。



ぎゅっと自らの手を握ったと思ったらコチラに笑顔を向けてきた。








智「俺も翔くんが好きだよ」



こうきたか。



はぐらかされてたまるか。




翔「そういう意味じゃないって!」





俺は智の腕を引き寄せてキスをしようとした。



それをするりとすり抜けられ立ち上がって窓際の方へ逃げた。



翔「智……」




俺が名前を呼んでも智は返事をしてくれなかった。






どれだけの静かな時が流れたんだろう。



先に口を開いたのは智だった。




智「俺を好きなんて勘違いじゃない?」







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